2011年11月23日水曜日

第1回 医療現場とお金の関係

第1回 医療現場とお金の関係

 みなさんはじめまして.今回から「医療のなかのお金のハナシ」として,医療にかかわるお金についての話をしていこう!

私たちの生活とお金

 日常生活のなかで,お金について考える機会はたくさんあるよね? たとえばバーゲン.多少デザインや色がイマイチでも,表示されている値段に納得すれば,買ってしまったり.海外旅行に行くときも,格安航空券で交通費を極限まで切り詰めて,現地でたくさんお買い物したり.一方で,「仕事で疲れたしボーナスも入ったからフンパツして,ぜいたくにビジネスクラスで行っちゃおう」とか.予算という制限があるから,すべてを思いどおりにすることはできないけれど,工夫をして『自分の欲求を最大化』していると思うんだ.
 ところが,実際自分たちが働いている病院に目を向けてみると,日常生活とはお金についての考え方がまったく違う気がしない?


私たちの職場とお金

 なんでだろう?
 「命はお金では買えない,かけがえのないもの」と,多くの人が考えているよね.もちろん,私も.ただ,お金も人も限りがある.予算を考えず,人員配置も考えず,ただやみくもな医療を行うことは決してよいとはいえないんじゃないかな?
 給料をものすごく下げられて,プライベートを犠牲にして,それでも仕事にやりがいを持ち続けることはできるのだろうか? 患者さんが助かる前に自分たちがつらくなってしまうという経験は,みなさんも少なからずあると思う.
 最近では,ハーバード大学のサッサー先生が,「サービスプロフィットチェーン」といって,“従業員が幸せならその幸せが顧客への対応に反映され,売上が上がることによって,さらに従業員への投資に回せる”,ということを提唱している.
 医療は人によって成り立っていると思う.私たちが幸せに働けることが,患者さんにとっても大切なことだと思うんだ.「患者」という漢字は,「心」に「串」が刺さった人と書く.病気だけ診るのではなく,患者さんの心に刺さった串を取り除くことが,私たち医療従事者のするべきことだと思う.そして,その方法は無限にある.そのなかで私は,「医療におけるお金の上手な使い方」という方法に注目しているんだ.

医療とお金の関係から見えてくるもの

 今の日本の医療には,バーゲンのように値引きなんてないし,より質の高い医療行為を行ってもすべて値段は一緒.日本では,自分の好みに合った医療を選択することについては制限があるよね?
 日本の医療制度が良いか悪いかなんて,現段階ではわからない.ただ,日本の医療というのは,どのような考え方で行われているのか.また,ほかの国々ではどのように行われているのか.知識をもって現場で働きながら考えることで,患者さんにとって良い医療とはなんなのかということを考えるきっかけになればと思っているんだ.
 次回は,「世界の医療」について話していこう!
にほんブログ村 病気ブログ 医療情報へ
にほんブログ村