第2回 世界の医療
今回は,世界の医療の流れと日本の現状について,世界はどのような考えで医療を行っているのか,そして振り返ってみて日本の現状はどうなっているのかを見ていこう!
みずからが選ぶ医療
今,世界の医療はみずからが選ぶ時代なんだ.
まず,私たちのお母さんが病気になったと仮定してみよう.たとえば,変形性股関節症.最近は,雑誌やテレビの医療に関するランキングやスーパードクター特集などをみて,「(うちの先生より)すごそう!」とか思って,病院を決めたりしているかもしれない.たしかにすごい先生はいるかもしれないけど,「実際,本当なの?」という場合も,なきにしもあらずだったりするよね.つまり,客観的なデータに基づかずに,主観や思い込みで決めてしまってる可能性がある.
でも,世界の医療はそうじゃない!
世界では病院が競争している.たとえば,アメリカにあるクリーブランドクリニックでは,客観的な治療データをホームページ上で開示している1).こんなふうに,「この病院で手術をしたらこんなによくなった!」っていうことが,手術の前にある程度確認できることは,とても大切なことだよね.こんなデータがあるからこそ,みずからが医療を選ぶことができるんだね.
DPCと
医療の見える化
それじゃあ,日本は?
今までは客観的なデータはなかったけど,2003年から始まったDPC(Diagnosis Procedure Combination)という制度によって,日本全国で自院の治療内容を国に提出しなくてはいけなくなったために,日本の医療も『見える化』されるようになったんだ.
DPCって病院の支払いだけと思ってない?
そうじゃないんだよね.もちろん支払いの変更にも大きくかかわっているけど,もっと大切なことは,日本全国の医療を『見える化』したことなんだ.
今まで「A先生はこの抗菌薬,B先生はこの抗菌薬」,なーんてことが現場ではよくみられていたかもしれない.つまり,“我流”が横行していた.だけどDPCになって,たとえば“大腿骨頚部骨折には全国ではこの抗菌薬,使用回数はこのくらい”,なんてことがすべてわかるようになった.そうしたら,「B先生の医療は果たして全国標準的なものだったのか?」ってことが,はっきりデータでわかるんだ.
もし,全国的な標準より無駄が多ければ,客観的にものが言える.「先生! ぜんぜん違いますよ!」って.そういうふうに日本もなってきてるんだ.
でも,それを使い,理解し,運用するのは,ヒト.もっと私たちも,勉強しなくちゃいけないよね.そうしていけば,医療の質も上がり,医療費も削減できていくんじゃないかな?
こんな変化が,日本においても少しずつ始まってきているんだ.詳細は,参考文献をみてほしい2).なかなか理解しにくいという方には,「病院情報局」というサイトがとてもわかりやすいと思う3).
次回からは,具体的にDPCについて見ていこう!
●参考文献
1) クリーブランドクリニックの治療成績について?http://my.clevelandclinic.org/Documents/outcomes/2009/ortho-rheumo-2009-outcomes-1.pdf
2)平成21年度 第3回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会が発表しているデータ?http://www-bm.mhlw.go.jp/shingi/
2009/05/s0514-6.html
3)病院情報局(細かな情報が簡単に検索できる)?http://hospia.jp/