第3回 簡単にわかるDPC


第3回 簡単にわかるDPC

「お金のハナシとか言いながら,お金の話題がまったく出てきてないだろ!」と思ってるよね…….これから数回に分けて,具体的な話をしていこう.

DPCって何なの?

手術が多い病院では,DPC(ディーピーシー)という言葉をよく耳にすると思う.「DPCだから,早く退院させなきゃ!」「DPCだから,針とか無駄に使っちゃだめだよ」なんてことを言われたことはあるんじゃない? 言葉はよく聞くけど,そもそもDPCって何なんだろう?
DPCとは一言で言うと,『お金の仕組みと情報の見える化』のことなんだ.

情報の見える化

DPCはDiagnosis Procedure Combinationの略で,Diagnosis(診断)とProcedure(手術を含む医学的処置)のCombination(組み合わせ)を用いて患者さんを分類する方法のことを意味してるんだ.今までは全国統一の医療を評価する指標がなかったし,「どんどん増える医療費をなんとか抑えなくては」という課題があって,DPCというものをつくったんだ.
簡単に言えば,患者さんの病態をある一定の基準で1,000〜3,000個くらいに分けて整理して考えようってこと.ちょうど下の図のような感じで分類するんだ.
患者さんの病態はさまざまだけど,こうやって病名を全国統一のルールに基づいて分類することで各病院の成績などを比較したり評価したりできるんだ.

DPCのお金の側面

お金については,先ほど分けたように,各分類ごとに診療点数というものが決められている.
診療点数というのは,1点=10円として計算するんだけど,DPCでは1日あたり包括といって定額制だから,たくさん治療しようが,点滴を失敗していっぱい針を使おうが,さらに高い薬を使おうが,定額の点数がもらえるんだ.だから,病院は「針を無駄にするな!」だとか,「薬は安い(覚えにくい名前の)ジェネリックにしよう!」なんて言い出したんだ.
しかも入院期間によってもらえる金額が違っていて,入院期間が短いと割り増しでもらえるんだよね.だから,病院は「早く退院させろー!」なんて言うんだよね.
ただし,この話は入院費用のことで,手術や麻酔などは包括には含まれてなくて,別途請求という形になっているんだ.

まとめ

DPCで大切なことは2つ.
1 入院費の支払いが,1日あたりの定額制になったということ.
2 もう一つは,診療の内容を誰でも見ることができるようになったということ(医療の見える化).
DPCのデータは,全部厚生労働省に提出しなくてはいけないという取り決めになっているから,全国の病院で,どんな病気が存在し,どのような治療をしているかが一目瞭然にわかる.医療を見える化することで,透明性のある医療が行える可能性があるってこと.
さて次回は,整形外科の疾患を例に,具体的にみていこう!