第4回 DPC病院の収入の流れ
今回は人工股関節置換術を例に,具体的な話をしよう.詳しい内容は専門書に任せて,「病院の収入」の大まかな流れをとらえていこう.
DPC病院の収入とは
病気を各診断群分類に分けて考えていくってことは,第3回で話したと思う.「病院の収入」は下の図のように表すことができる.
DPC病院の収入は,おおよそ「診断群分類による(包括した)評価」と「出来高部分」そして「入院時の食事代」に分かれている.
「診断群分類による評価」というのは第3回でも書いたとおり,入院期間や手術の有無によって決められているものなんだ.たとえば,変形性股関節症の場合,人工股関節置換術ありのときは,“手術あり”なので1点がつき,その1点を10円と換算するんだけど,入院期間によって点数が違い,下記のように決められているんだ.
1〜14日までは2,268点
15〜27日までは1,653点
28〜45日までは1,405点
「出来高部分」は,国が定めた手術技術料というのがあり,それに麻酔やリハビリテーション,1,000点以上を超す処置などが含まれる.加えて,日々の食事代金が加算され,値段が決まっているんだよ.
「診断群分類による評価」は手術を受け入れる病院に対する評価,「出来高部分」は手術をする人への評価と言い換えてもいいかもしれない.
医療機関別係数とは
今まで書いてきたことが大まかな形.診断群分類による評価は,実際はさらに細かく分かれるんだ.前述した診断群分類ごとの点数に加えて,「医療機関別係数」というものがある.
これは,おもに機能評価係数1と2に分かれている.詳しいことは,今後説明するけれど,ここで簡単に説明すると,病院の施設体制や看護体制(7:1とか),効率性や複雑性,地域医療への貢献度,救急医療への取り組みなどの観点から点数をつけられる.これによって病院ごとに点数が決まってくるんだ.
調整係数2を例にとって考えてみよう.(上の図を見て!)
同じ手術をしても,調整係数だけでも1件あたり328,320−326,030=2,290円違う.これが100件あるとすると,23万円くらいの差になってしまう.
今回は調整係数2だけで考えたけど,看護基準などで変わるそのほかの機能評価係数などを加えると,さらに値段が変わってくるんだ.これは病院の経営者も無視できないよね?? ということは,病院はこの調整係数をよくするために,効率よく(合併症なく),数多く手術をしようと考えるよね.そうするとどうなるか?
看護師さんの人数なども機能評価係数などで評価されるから,ある病院は辞められないように大切にしてくれるかもしれないし,また違う病院では救急をたくさん受ける病院になるのかもしれない.DPCによって病院にさまざまな個性が出る可能性がある.私たちにとっては将来自分のスタイルに合った病院を選ぶことができるかもしれないね.
次回は,今回説明したDPC病院の収入について,具体例を挙げて考えていこう!
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